この記事では、Eroticaを大量に読んで楽しんでゆくことを目的としたときに、持っていたほうが良い英文リーディングの実践的技術や実用的なノウハウについてまとめてみました。
Erotica を“楽しんで”たくさん読むための技術
英語の官能小説であるEroticaを読むことは、英文リーディング能力を高める上でとても有効な学習法ではあるのですが、それ以前に「英語で物語の世界を楽しむ」という体験そのものを、語学を学ぶ本質的な喜びとして捉えなおすことが、ここでの要点となります。
もちろんエンタメ性の高い娯楽小説を大量に読むことで、語彙や文法の自然な習得、読解スピードの向上、そして「英語を読む体の感覚」を育てることは、基礎的な語学学習として有用です。ただしその有用性ばかりに目を向けて、語学を学ぶ目的を見失うことは本末転倒になります。
ここでは、普段英語知識の利用をする機会のない普通の人が、英語の娯楽小説であるEroticaを「楽しみながら継続的に読む」ための実践的な技術とマインドセットをご紹介します。
「完璧に理解しないといけない」という思い込みを捨てる
娯楽小説であるEroticaを読むときは、その目的を「学習」ではなく「楽しむこと」に置くことを意識しましょう。すべての単語の意味を完全に理解しなくても、物語の流れや雰囲気がわかれば十分にEroticaは楽しめます。英語圏の読者でも難解な語彙や表現を飛ばして読むことは普通にあることです。読書における「曖昧さへの耐性」こそ、英文を意識せずに読むようになるための第一歩です。
また小説では、いわゆる非文が意図的に使われることもありますし、持って回った表現や、ウィットを出すために発想が転換されたような視点からのセリフなど、標準的な文法知識だけでは理解しにくい文が多く現れます。これらは異文化圏の小説の楽しみを構成する要素の1つではあるのですが、理屈で正確な意味を読み取ろうとすることや、完璧な和訳を目指すことにはあまり意味がありません。
「意味の核」だけを拾って先に進む技術
読み進めるうえで重要なのは「すべての単語」ではなく「文の中心」です。主語・動詞・目的語といった「意味の骨格」に注目し、細かい形容詞や副詞、修飾語はスルーしても問題ありません。たとえば:
She was terribly nervous, but she walked into the room with a smile.
この文では、「nervous」「walked into the room」「smile」のように、意味のコアだけ押さえれば十分理解できます。
文法構造がどうなっているかとか、この単語の発音はどうなっているかなどの学習的な意識は無駄とまでは言えませんが、少なくとも小説を読むという目的に対しては余計な思考ということになります。
重要なのは文脈であり、意味のコアが文脈に沿っている限りはどんどん先に行くことを優先しましょう。
辞書を使わない、もしくは極限まで減らす
辞書を引くたびに読書が止まると、物語への没入感が失われます。娯楽小説では、知らない単語は飛ばす勇気が大切です。どうしても気になる言葉だけ後でまとめて調べたり、簡易辞書アプリでポップアップ表示するなど、読書体験を妨げない工夫をしましょう。
文脈を掴んでいれば、わからない単語に出会っても、この単語の意味はだいたいこういう感じの意味になるはずという推定が効くようになります。特に小説の場合は著者の語彙の制約がありますので、後でまた同じ単語に出会うことも増えます。そうしたときに概念的な結びつけの精度を上げてゆくことで、辞書を使わないまま単語の意味を捉えることができます。
物語の基本要素を早期に掴む
物語の基本要素は「人物、背景、事件」と言われます。タイトルやサマリーなどから読み始める前に予想となるアタリを持って、作品冒頭から確認しながら空白を埋めてゆくようにしましょう。
ミステリー、ファンタジー、SFなどは作品によっては全体像がかなり複雑になりますが、Eroticaの場合は「登場人物」も数人であり、「背景」も場面設定として置かれるだけのことが多いです。「事件」については性的関係をどう結んでゆくか、という問題であることがほとんどではないかと思います。つまり事前のアタリが付けやすいのでおすすめです。
小説を読み始めたら、まず物語の基本要素を掴みながら、これからどのような展開があるのかを予想しながら読み進めます。文脈を捉え、その文脈が予想と変わらないのであれば、流して読んでもそれほど問題にはなりません。
難易度と興味
個人的にはEroticaだけで十分に楽しめていますので、一般的なジャンルの英文を読む難易度が、どの程度の差になるのかはよくわからないところがあります。ただ娯楽小説である以上、文章の難易度にそれほど違いがあるとは考えられませんし、読んで自分が楽しめるかどうかという点が問題の中心であることは変わりません。
もちろん文学作品などには文学であることの難しさがあり、SFなどでは作品世界の設定を理解する難しさがあります。そうしたそれぞれの難しさを克服できるかという問題はあるかもしれません。ただし基本的に自分が読みたいと思う「興味」があるのであれば恐れずに挑戦するべきだと思います。
いちど高山に挑んで挫折することが、低山での地道なトレーニングを励む原動力になることだってあるはずです。自分の持つ「興味」は大切なものだと考えましょう。それを大事に育てることはどのような読書や趣味においても重要なことです。
「興味」はいちど失ってしまうと新たに得ることは難しくなります。自分の「興味」の発現を逃さないようにして、財産だと思って伸ばすようにしましょう。
楽しんで読むという観点では、難易度に関して特に問題となる部分はないはずです。ただし初心者である場合は、若者向けの作品、娯楽系のベストセラー作品、短編作品、というあたりから探して読むことをおすすめします。
自分を楽しませることを意識しよう
コンテンツや情報の溢れている現代社会では、「読書」を楽しむところまで持ってゆくために、ある程度集中できる環境を整える必要があります。また自分自身が「読書」によって楽しみを継続的に得られるような習慣や工夫を自ら意識して作ってゆく必要もあります。
自分が物語のどのような要素に心が動かされやすいのか、次の楽しみに繋げるためにどのようなことに関心を持っているのかなどを客観的に分析し「自分自身を楽しませる」ためには何をどう読めば良いのかを考えて、それを試行錯誤しながら実践してゆくことです。
能動的に自分から「楽しむ」意識も必要ではありますが、「読書」を継続してゆくためには、自分の機嫌をどう取ってゆくけば良いのか、自分が何を求めていて、どういう言葉で説得すれば動くのかを知ることが確実な技術ということになりますし、それ自体も応用が効く技術になるはずです。
読むスピードを気にしない
初めのうちは、読むのに時間がかかるのは当然です。大切なのは、読んだ英語が英語のまま頭に入ってくる感覚を育てること。スピードよりも「止まらずに読む」ことに集中しましょう。逆に「読めている手応え」が出てくると、スピードも自然と上がってくるはずです。
慣れてくると外国語を読んでいることを特に意識しないで読めるようになります。この感覚の初端が得られるところまでは少し頑張る必要があるかもしれませんが、そこを掴めば後は楽しむだけという感覚になるまではすぐだと思います。
語学としてではなく“物語”として味わう
泣いたり、笑ったり、興奮したり——感情を伴った読書体験は、言葉を深く記憶に刻みます。難しさを忘れるくらい物語に没頭できれば、それが最高の英語学習になります。Erotica を読んでいる中で「学ぶ」から「味わう」へ読み方のフェーズが自然と変わってゆきます。
もちろん最初はある程度「学ぶ」という意識が必要にはなるかもしれません。ただEroticaの物語を少しでも楽しめた瞬間に、その目的を「味わう」ほうに変えてしまっても問題はないはずです。いずれにせよ、語学を学ぶのは道具として使うためであり、それは文章を「味わえる」ようになるだけで十分に目的の達成になるからです。
読む習慣をつける
Erotica をたくさん読むことは「英語を読む筋力」をつけるトレーニングでもありますが、それ以前にそれ自体がとても楽しい文化体験になります。Eroticaを読む技術は少し自分自身を意識して積み重ねることで誰にでも身につけられます。
まずは作品を1つ「意味が分からなくても楽しめる」くらい気楽な気持ちで始めてみてください。そしてそれが読了したら次の作品へ。楽しみながら、あなたの中の「Erotica読書の筋肉」を鍛えていきましょう。


コメント